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「清浄たる炎。汝が力を我に宿せ――バースト!」
ラスターの周りに真紅の魔方陣が現れて、赤い光が包みこんだ。
同時に魔方陣がスーッと消えていく。
だが、ラスターの青い髪が、ほんの少し赤い光を帯びている。
「体内の温度を高めて熱を……エネルギーを生み出し、体内の筋肉組織を活性化させました」
「……なるほど。強化魔法か」
「いきます!」
全身の筋肉が唸る。
爆発的なスピードを生み出して、ラスターは一瞬で間合いを詰め込んだ。
そして、二人は同時に剣を振るた。
一合、二合と。
威力、振り、速度、全てが互角の勝負を繰り広げていた。
何度も繰り広げられる剣と剣のぶつかり合い。
しかし、ラスターは自分が不利なことに気が付いた。
双剣の速さが、大剣の速さと同じということに。
横薙ぎにくる大剣を避けて、ラスターはさらに懐へ飛び込んだ。
「よし!」
活性化した状態の身体能力を使って、流れるように素早い剣撃を振るう。
無数に突き、剣を横薙ぎに払い、力を込めて振り下ろす。
双剣を使った素早い剣戟。
最後の攻撃を加えようとした――瞬間。
チクリ、と鋭利なものが喉元に食い込む感触が伝わった。
――気づかぬ内に、カインの大剣が捉えている。
「……良い実力だ」
カインが喉元に突きつけていた剣を引き戻した。
あのまま進めば喉を貫いていた?
ラスターに恐怖という感情が沸きあがったのか、冷や汗が額を湿らせていた。
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