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「……完全に負けましたね」
残念そうに呟いたものの、悔しさはなかった。
むしろ清々しいようで、ラスターの表情に曇りはない。
一学年しか違わない者とここまで差があったのは悔しい。
だが、それは自分もまだまだ強くなれるということだ。
だからこそラスターは清清しい気分だった。
「いや、素晴らしいよ。これなら1ヶ月後には強くなるって」
「そ、そうですか? ありがとうございます」
ラスターは照れくさそうに頬を掻きながらも、素直に嬉しそうだった。
微笑んでいたカインは身体を翻し、アミティエとリリスかの方を振り向く。
「アミティエ、そっちはどう」
「……うん! センスがあるね! さすがは幼馴染みコンビ」
歯を見せて笑ったアミティエに、カインも微笑む。
アミティエもリリスの力量を計っていたらしく、リリスは肩で息をしていた。
「大丈夫か……?」
「ラスター……こそ」
ラスターの言葉に、リリスは小さく笑った。
むしろラスターのほうが辛そうだよ? と付け加えて。
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