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「いい湯だねー」
「ほんとですねー」
体から空気が抜けて筋肉の疲れが拡散する。代わりに湯の温もりが伝わっていく。
まさに極楽。
肩までつかれる湯船の端には、疲れや肩こりに効果のある天然温泉と書かれている。
カインとラスターは温泉に入り、雑談を楽しんでいた。
まだ昼であり、時間帯のせいか他の客は居ない。完全に貸し切り状態だ。
「あ、ラスターって筆記試験は何位だったの? 合格者中でね」
「……120位中103位」
「ぷっ」
「今笑いましたね。泣きますよ。先輩こそどうなんですか!」
「三位」
ラスターは、カインの発言を理解するのに数秒有した。
ニヤニヤと笑いながら、カインはラスターを見ている。
「三位……?」
「そう! 三位!」
カインは胸を張って叫ぶ。
何を言っているのだろう、この人は。
……三位、三位ぃッ!?
「……」
ラスターはショックで開いた口が塞がらなかった。
戦闘学科はどちらかと言えば頭が悪い。
それなのに戦闘学科であるカインが、チャラチャラした感じのカインが、三位だということ。
それがラスターには不満だった。
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