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「ラスター、君は間違っている! 健全な男性ならば当然の行動だっ!
そして、それを抑制することで【迷い】を生じさせている…。
戦闘に【迷い】は自分の命を落とす要因にも成り得る!
特に戦闘学科ならば、接近戦がおもだ!
接近戦で迷えばそれは死だ。
まぁ今の君にはわからなくて良い。
犯罪だと思っているのだろう?
しかし、その境地を乗り越えた時……君は【迷い】を断ちきり!
自らを堕落させることで、君はより成長するんだぁッ!!
人間は深い出来事は忘れない、そして次にそれを生かす…。
堕落こそが成長に繋がる!
そして経験が培った技量の差は、努力でも埋めることはできないんだぁッ!!
ラスター、これがわかるかぁぁぁあ!!」
カインは顎においていた手を離して、ラスターに突きつけた。
無茶苦茶な論理だった。そもそも犯罪にかわりは無いのだから。
しかし、
ラスターは、カチッとスイッチが押されたような気がした。
頭の中のモヤモヤがキレイに消えた。
そう、彼はつまらない理屈に捕らわれて自分に素直に慣れなかった心を、浄化してくれた。
「先輩……」
「カインで良い」
「……カイン! 俺は……」
「言わなくてもわかるよ。ラスター」
そう言うと、突きつけていた手を拡げた。
「カイーーーーーーンっ!!」
涙で顔を濡らすラスターは、湯船を駆け出して勢いよくカインに抱きつく。
タオル一枚だけを装備した男二人が、しきりの前で抱き合っているのだ。
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