■特訓

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  ラスターが時計を見ると朝の8時を回っていた。 完全に目が覚めたとはいえ、緑の広がるこの草原を見ていると目が痛いようだ。 ラスターは目を瞑っている。 「とりあえず、実戦経験を豊富に入れようと思ってるんだ」 朝陽に当たる艶やかな黒い髪を風に揺らしながら、カインは言った。 「なぁカイン、俺は戦術と魔法を習いたい」 「……すいません、私は実戦はちょっと苦手です」 「魔法も戦術も、実戦経験を積めば自然とわかるよ。リリスはサポートがつくから大丈夫。ね?」 「ね?」を強めて言われたため、二人は素直に頷いた。 二人は、カインにも考えがあるんだろう、と自身を納得させていた。 「さて、まずはソレイヤの森に行こう」 「ちょっと待った!」 歩み始めるカインに向かって、焦ったようにラスターが叫んだ。 カインは不思議そうに振り向いた。 「ソレイヤの森って…モンスターがうじゃうじゃ居るはずじゃ!」 ラスターが反論するのも無理はない。 ソレイヤの森は、近年モンスターの増加で有名になったのだ。 それは正規の軍隊すらも悩ませるほどに。 しかも、ギガンティスと言う巨大なモンスターも確認されている。 しかし、それでもカインは微笑んでいた。 「強くなるには、これが一番だ。ね?」 続けて、アミティエが眠そうな顔を手で擦りながら言った。 「いざとなれば、私達がいるからね」 ラスターとリリスは過信しすぎだとも思えた。 正規の軍隊が頭を悩ませる森に、学生が四人だけで行くのだから。 それなのに、なぜだろうか。 ラスターとリリスは【この二人がいれば大丈夫】と、異常なまでの安心感を持っていた。 不思議な安心感。 信用ならない感覚に戸惑いもあるが、今は先輩に命を預けることにした。
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