■特訓

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  濃い緑の臭いと木々に包まれながら、ラスターは歩いていた。 ――……1人で。 「おーい! みんなどこだよ……!!」 思い虚しく、ラスターの叫び声は森の中に吸い込まれていった。 不気味にも魔物の気配はなく、森の中は静けさが漂っている。 ラスターは、仲間達とはぐれてしまった。 そして、森の中を歩き回っているが出口すら見つからないままだ。 「みんなー……」 段々とラスターの声が弱まっていく。 魔物に見つかるのも危険だと感じ、ラスターは叫ぶのを自重していた。 それからしばらく歩くと、木でできたアーチが見えた。 あそこなら目立ちやすいかもしれない! そこに向かって歩くのだが――ラスターは足を止めた。 「ギ……ギガンティス」 そこにはモンスターでも極めて好戦的なギガンティスがいた。 その巨大な体躯の向こうには、動物か、果たして人間のものなのか、多くの骨が落ちている。 それを見た途端、ラスターは凍りつくような寒気を感じた。 心臓が高鳴り、この場から離れようと震える体を動かす。 しかし、その時、目の前に合った金属の塊――折れた剣の一部を蹴ってしまい、金属音が響き渡った。 「しまっ――」 「ッ!!」 完全に見つかった。 弾かれたように振り向いたギガンティスは、重そうな足を動かして近づこうとしている。 噛み締めた歯の隙間から、荒い息が漏れている。 ラスターを喰らう気かもしれない。 その時、ラスターは脱兎の如く走り出していた。 しかし歩幅の問題もあり、距離を引き離せない。 いや、歩幅以前に足が震えているからだ。
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