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意識が、朦朧と、している。
ラスターはボーっと瞼を開いた。
段々と色素が鮮明に映し出され、先程までのことを思い出す。
すぐに立ち上がろうと体を動した瞬間、体の激痛に呻いた。
しかし、その体を見ると治療が施されている。
「大丈夫かな?」
声の聞こえた方向を見ると、そこにはカインが居た。
張り裂けそうな緊張感が解けて、大きな安心感がラスターを包んだ。
その後ろにはギガンティスが仰向けに倒れていて、鮮血の絨毯を敷いている。
周囲に、焼け焦げた跡や抉られた土の跡が残っている。
ラスターは固唾を呑んだ。
それでも目の前で微笑んでいたカインを見ると、ラスターは不思議と安心していた。
「カイン! よかった……」
ラスターは安堵して、周りを見渡す。
しかし、いるはずの二人がいない事にも気付いた。
「あれ……、リリスとアミティエさんは?」
「別行動してるよ」
「そっか…、俺のせいで。ごめん」
「いや、むしろ好都合かな」
相変わらず、笑みを崩さない。
ラスターはその発言を不思議に感じて小首を傾げた。
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