■特訓

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  「二人だけの特訓、さ」 「二人だけ? なんで?」 「君とリリスは、まだ成長段階だからね。ひとまず20日間くらいは、各自で特訓しようって話になったんだ」 「へぇー。てことは後の10日間は合同でやるのか」 「そういうこと」 カインは頷くと、ラスターに近づいた。 その手には、背中の大剣とは別に剣が握られている。 「これをあげる」 握られていた剣をラスターに差し出し、疑問に思いながらもラスターは受け取った。 見るからに高級そうで、赤い刀身が炎のように波を打ち、柄には細かな装飾もある。 重量がありそうだが、持ってみると手に馴染み、軽かった。 「なんか…高そうだけど…良いの?」 「いいよ。おさがりだし。俺って元々、普通の長さの剣を使ってたんだ」 「ありがとう。大切にする!」 フッとカインは微笑んだ。   ――ああ、ラスターは敬語になっていないことに気づいてないんだな、と。 だが、カインも咎めるつもりはなかった。 「さぁて、早速特訓しようか」 「え? いや、俺は怪我人……」 「大丈夫さ、勉強なら。まずは基礎学習からね」 その後、幾度となくラスターはため息を漏らし、稀に悲痛な叫びを発することになった。
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