■特訓

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ラスターはようやく一息をついて、木陰に背中を預けた。 隣の切り株にはカインが座っている。 ラスターは、疲れが出たのか、体の重さに不快感を示している。 「ところで……」 「ん?」 「ギガンティスを倒すなんて、カインは相当凄いんだな」 その言葉に、一瞬カインは驚いた。 けれど納得したように頷くと、また微笑していた。 それに気付かず、続ける。 「だって、あれ騎士が倒すようなモンスターだろ? それに勝ったカインは……」 「ラスターは……覚えてないのかな?」 ラスターの発言を遮り、カインは問い掛けた。 しかし、ラスターにはその意味がわからないようで目を丸くしている。 「いや……、何でもない。それより、さっき話した内容は覚えてるかな?」 「うっ……、いや、まぁ…」 「あはは。勉強は大切だ。俺に勝ちたいなら、頑張りなよ」 カインが言うと、ラスターは項垂れた。 カインが「どうした?」と言うと顔を上げて、その口を重々しく開く。 「いや、俺なんかが勝てるのかな、って。大体……」 「信念は願いを成就させる力」 また、カインが遮るように言った。 ラスターを見るカインの目は、どこか悲しそうであったが、とても静かで優しかった。 「昔、よく言われた言葉なんだ」 「昔? 誰に言われたんだ?」 聞き返すと、カインははぐらかすように笑った。 「さぁ、続けようか」 「ええ!? まだ数分しか」 「さぁ君の大好きな勉強タイムだ」 ラスターは上手く話を逸らされたが、追求する必要も無いため、これ以上は問い詰め無かった。
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