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「んっ……」
――すっきりと意識が目覚めたのは久しぶりだった。
ラスターは寝癖のついた髪を触りながら、タイムラグを入れることなく立ち上がった。
――今日は、学園内大会予選の当日。
昨夜の就寝前から、ラスターの準備は万端だった。
特訓は無事終わった。
最後の10日間はアミティエ組と合流して、戦術を踏まえた実戦を行った。
自信と実力がついたと、目に見えてわかるほどに成長したはずだ。
少なくともラスターはそう思っている。
部屋を出てリビングに行くと、既に三人は集まっていていて、カインによる朝食も並べられていた。
「おはよう」
「あっ、おはよう。ラスター」
「おはよー」
「よく寝れた~?」
リリス、カイン、アミティエの言葉に「もちろん!」と答えて、ラスターも椅子に座った。
そして、逸る気持ちを吐露した。
「いよいよ、今日か……」
「そうだね……。ラスター、今日は頑張ろうね」
ああ、とラスターは力強く頷いた。
一ヶ月前の二人なら、『せいぜい怪我しないように気をつけよう』だったかもしれない。
「まぁ予選だし、気張ることもないよ?」
台所にて皿を洗っているアミティエが言った。
ベーコンを口に含んだカインも、同意するように頷いた。
「ふぉうふぉう。……んっ。ふう」
「ふたりは余裕があって羨ましいよなぁ」
ラスターがそう呟くと、リリスは「そうだね」と言って微笑んだ。
ここ一ヶ月でラスター達が知ったのは、彼らが二年生の中でも有数の実力者だということだった。
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