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「さて、そろそろ行くか」
カインの声に、三人が時計を見ると――8時20分。
開会式は9時00分からである。
「俺は準備万端!」
「私も準備できてます」
「よし、じゃあ行こうか」
カインの号令に、ラスターとリリスが部屋から出ていった。
初めてのイベントに、二人は興奮しているのかもしれない。
後ろに残ったカインがそう思ってると、アミティエが囁くように声をかけた。
「カイン……。あの剣は」
「フランベルジュだよ」
訊かれて、カインは柔らかく微笑む。
しかし、アミティエは訝しげにカインを見ている。
その視線の意味を理解しているのか、カインは首を横に振った。
「大丈夫。重ねてないよ」
なるべく安心させる様に、笑みを崩さず。
それでもアミティエは納得していないようだが、ゆっくりと頷いた。
「……そっか」
そう言うとアミティエは歩き始め、カインも追うように部屋を出た。
重ねていない。むしろ見極めるためだよ、と呟いて――
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