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術式を中心に、光の奔流が渦をまき、それは光を吸い込むように真っ暗だった。
禍々しい光の中から、呻き声、そして――荒れ狂ったような咆哮が轟いた。
『――ォォォォォォォンッッ!』
漆黒の奔流から、毒々しい宝石――瞳が、巨大な翼が、巨大な黒い鱗が、巨大な体躯が姿を現し始めた。
文献でしか見ないような――ダークドラゴンの成人体。
観客席は騒ぎたて、選手に至っては逃げ出す者もいれば、降参する者もいる。
勇ましい選手も居た。
リリスが「ダークドラゴン!」と叫ぶと、もう一度咆哮したダークドラゴンが選手に向かって口を開いた。
「せやぁああああああああ!」
一人の剣士が勇敢にも、いやこの場合は無謀にも、ダークドラゴンに向かって走り出す
。
だが、ダークドラゴンの強靭な皮膚には全く効果が無かった。
そして、ダークドラゴンの鋭い牙が剣士に向けられる。
鉄すら噛み砕いてしまいそうな鋭利な牙は、人間ならガムのようなものだろう。
――剣士は、あっさりと降参した。
『試合終了。Cブロック代表選出は、
一年生リリス・ウェルディシュ選手。
三年生レイナ・アルソート選手
さぁ大会恒例の番狂わせが来ました!』
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