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リリスが去った後も、観客席が騒いでいた。
「おいおい、一年だよな?」
「すごいわね……魔工学科の生徒かしら」
「それよりダークドラゴンをどこで使役したんだよ!」
「そういや何であんなのを従えてんだ…」
観客席はリリスの召喚したダークドラゴンの話題に持ちきりだった。
「それよりアミティエ」
「うん。レイナ先輩が居たなんて…。危なかったよ」
「確認不足だった。自分の目線で考えていたからかな」
カインが俯くと、アミティエは苦笑した。
その間も観客席はリリスの話題で盛り上がっている。
「それは仕方ないだろう」
ふと二人の横から、声が聞こえた。
そこには切れ長の青い瞳で、カイン達を見つめる青年がいた。
目にかかる銀色の髪をよけて、フッと笑った。
その容姿は、レイナと並べば、兄妹として美しい絵になると思える。
そう、容姿だけ見れば《クールでかっこいい青年》がピッタリなはずだ。
「……シオン先輩か」
「久しぶりだな、カイン」
「相変わらずですね……」
シオンと呼ばれた青年は、カインの肩に手を置いた。
カインは微妙な顔をしつつも笑みを崩してはいない。
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