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「魔を焼き尽くす業炎の風」
どこからか笑声混じりの詠唱が聞こえてきた。
マナの集まり方を見る限り、この森ごと焼き尽くすのかもしれない。
あいにく炎の魔法の発動タイミングなら、カインに嫌というほど身をもって味わわされた。
ラスターはタイミングを見計らい、木々を蹴って上空に跳んだ。
そして、
「フレアストリーム」
あちこちの魔方陣から、炎の柱が放たれた。
それは竜巻のように渦を巻き、森を焼き尽くしていくだけではなく、燃える木々を一箇所に集めていく。
「な……なんつう魔法だよ……」
この量は、一人では発動できないだろう。
真下を見ると、多くの選手達が脱落していこうとしていた。
「つっ……落ちる……!」
飛翔した体が重力に引っ張られ、地面に着地すると、見事に草木は焼け焦げていた。
木々はずっと端に寄せられて、薪のように燃え盛っている。
残ったラスターは、唯一平然としている二人に声をかけた。
「エイテル先輩にフェイト先輩……」
「あら? 意外……残っていたのね」
エイテルはラスターに向き直り、妖しく笑った。
後ろにはフェイトが居て、その巨大な斧で残っていた選手を薙ぎ払っている。
そして向き直ると、ラスターを見て目を丸くしていた。
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