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ラスターには自信があった。
自分の真価を発揮できるのは一対一だと、理解しているからだ。
身体能力を強化する『バースト』は、数時間も保てる。
そして相手はパワー重視で、こちらのスピードにはついてこれないだろう。
迫りくるフェイトは、やはり遅かった。
斧も小回りが効かないし、薙ぎ払うか振り下ろしか振り上げるか――読み易い。
「纏い炎ッ!(まといほむら)」
フェイトの咆哮と共に、斧から炎が噴きあがった。
そして炎を纏った斧が振り下ろされる――が、ラスターは難なく回避する。
バックステップを踏んだ。
そして振り終わりの隙を突いて、剣を突き出す。
「はぁっ!」
「甘いっ!」
剣が、鎧の表面を滑る。
そこに斧が薙ぎ払われるが、ラスターはそれも難なくかわした。
「なかなかやるではないか……」
(あれ?)
おかしいな。
この人はカインに並ぶ3強の一人だ。
――どういうことだ?
疑問に眉根を寄せるラスターを、フェイトは苦悶していると考えたらしい。
大きく笑って、斧を構えた。
「試合中は喋らない派か? すまないな」
フェイトは軽い笑みを浮かべたが、次には真剣な表情へと戻った。
そして斧を大きく振り上げた。
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