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リリスは【合格者発表・魔工学科】と書かれている欄をジッと見ている。
隣には不合格だったようで、涙を見せている人もいた。
――私も泣いちゃうのかな?
でもでも、試験の結果は悪くはなかったはず!
不安、そしてわずかな期待に、心臓の鼓動が早まる。
意を決して、リリスは合格者発表を上から下へ見ていく。
ただの文字が、自分を祝福するか、あるいは突き落とすか。
リリスにとって、文字の羅列が恐ろしいと思ったのはこれが初めてだった。
しかし、あっさりすぎるほどに自分の番号は見つかった。
「あっ……あったー!! 私の番号あったよ!!」
リリスは自分の番号を見つけると、隣にいたラスターに抱きついて、右手で自分の受験番号を指を差す。
気分は有頂天、天にも昇れる勢い――いや、昇ってはいけない。
しかし、ラスターはそれに対して無反応だった。
ラスターは合格者発表を一点に見つめながら、口を半開きにして呆然としている。
その様子を見て、リリスの脳裏に嫌な予感がよぎった。
――ラスターは受からなかったんだ、と。
「……あっ……」
そう考えたリリスは罪悪感を感じて、目を伏せる。
リリスは慌てて抱き着いていた体を離し、慰めの言葉も思い付かずに立ち尽くすしかなかった。
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