■学園内大会予選

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「あの一年フェイトに勝ったぞ!?」 「また一年坊主だぜ!」 「毎年、何人かはいるもんな……」 「いや、去年は例外だろ。あいつらは……」 相変わらず観客席は盛り上がっていた。 その声に混じって、アナウンスが響く。 『二名が決まりましたので、試合――』 「審判!ちょっと待ってくれる? 私、この子と戦いたいわ」 え? 突然の提案に、安堵していたラスターは戸惑った。 観客席はざわめいたが、アナウンスは間髪いれずに―― 『試合運びは順調、というより観客も盛り上がるでしょうから、許可します。では、試合再開』 え、ええっ!? ラスターは心の中で叫ぶしかなかった。 なにせエイテルはやる気だ。 「ふふ、先輩として教えてあげる。坊や」 そう言って、エイテルは剣を構えた。 その完全に舐めきった態度に、ラスターは少しばかり怒りを覚えているのも事実だ。 「ありがとうございます。では、いきます!」 ラスターは先程とは比べものにならない速さで、辺りを移動した。 土を蹴る音と、弾かれた土だけが舞う。 フェイト戦時とは比べものにならない速さだ。 「はやっ…!」 流石の速さに、エイテルも笑みを崩した。 驚嘆の声を上げた直後、エイテルの目の前に、ラスターは姿を現した。 「終わりだぁっ!」 剣を振りかぶる。 間違いなく避けれない距離だ。 しかし、 「えいっ♪」 「えっ?」 避けられ――いや、剣を流すように逸らされた。 剣と剣がぶつかった瞬間、エイテルは体をずらし、剣を左に流していた。
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