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剣を流されたせいで、ラスターは前のめりになっている。
エイテルはそこを突いた。
「やっ」
「がぁっ!? ……ごほっ……ぅ!」
エイテルの剣の柄は、ラスターの首筋を的確に捉えていた。
――激しい嘔吐感と目眩に襲われ、気を緩めれば意識を手放してしまう。
ラスターはそのまま地面に倒れこんだ。
「ふふっ。流石に驚いたわ」
ラスターを見下ろしつつ、エイテルが笑う。
「でもね。防御が全くダメ。それに攻撃が一直線すぎるのよ」
エイテルの言葉は、正しかった。
ラスターはその言葉に反論できず、ゆっくりと意識を手放していった。
――ああ、この学園に入ってから二度目だ。
そう考えながら、ゆっくりと――
「お疲れ様♪」
『試合終了!Dブロック代表
二年生エイテル・セイレーン
一年生ラスター・レジェンド』
一方、観客席はまたも盛り上がっていた。
「ま、上々だね」
「カイン、結局使わせなかったんだね?」
「予選だし、実力でやらせたかったんだ」
カインが微笑むと、その隣でリリスは慌てていた。
どうやらラスターが心配らしく、今にも飛び出しそうだ。
「ラスター、気絶したけど大丈夫かな……!」
「エイテルも手を抜いていたから大丈夫だよ。医務室に運ばれたと思うよ」
「私、いってきます!」
そう言ってリリスは慌ただしくも、医務室へと向かっていった。
「さて、ちょっと早いけど、俺らも行こっか」
「うん!」
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