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「ラスター、上出来だったよ」
あの後、リリスに「本選は明日からだから、ホテルに一旦戻ろう」と言われて、二人は帰宅した。
そしてリビングに入るなり、カインが開口一番に告げたのだ。
「エイテル先輩に惨敗だったけどな」
ラスターは自嘲しているが、カインは満足そうに笑っている。
「相性ってもんがあるからね。それにまだ一年だから大丈夫さ」
「ああ……、ありがとう」
ラスターは素直に受け入れ、お礼の言葉を言った。
本選突破の目標を達成できたことに喜びながら。
「とりあえず、明日に向けて今日は休み」
「あ、後、本選はチーム戦だから」
アミティエの言葉にリリスは頷くが、ラスターは目を丸くした。
聞いていない。
教師も、アナウンスも、カインも教えてくれなかった。
「え?チーム戦なのか?」
「うん。24人居るから、六人の四チームを作るんだ」
ラスターは「なるほど」と言って、頷いた。
つまり、
「てことは、この四人でも組めるんだな!」
ラスターが言うと、リリスは笑顔で「うん」と答えた。
その事実は、二人にとって心強く、優勝を狙えるんじゃないかと錯覚させるほどだった。
しかし、二人は、カインが怪しく笑ったのに気付くはずがなかった。
「さ、今日は休もうか。じゃあ……おやすみ」
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