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「さあて、始めますか」
シオンは腕に手甲(ガントレット)を着けていた。
それを見つめながら、ラスターは格闘家なんだな、と考えていた。
他にも見回すと、レイナは細剣を、リディアは杖を、アルスは――素手を。
「あ、あれ? アルス先輩の武器は……?」
不思議に思ったラスターが質問すると、アルスは肩をすくめた。
ニッコリと笑いながら、手を上げて――
「ありませんよ? 肩がこりますから」
「え、ええ!?」
ラスターの素っ頓狂な声に、アルスは可笑しそうに笑っている。
当然だ。武器を持たないなんて聞いたことがない。
さらに追求しようとしたところ、タイミングが悪くアナウンスが鳴り響いた。
『準備が完了したようですね。フィールドの移動を始めます』
アナウンスの宣言に、全員が武器を構えた。
遅れて、ラスターも構える。
『今回のフィールドは……廃墟だぁ!』
そう言うと、視界が歪んで平衡感覚を失う。
気付くと、六人の周りは廃墟に変わっていた。
崩れたビルの瓦礫や、腐敗したものまである。
『では――試合開始ッ!!』
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