■学園内大会本選

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  建物の影から影を縫うように、ラスターとシオンは駆けて行った。 常に周囲を警戒し、二人が止まるときは背中を合わせる約束だ。 「角度30の方向に二人居るな」 「どうしてわかったんですか?」 「その部分だけマナが微弱に揺れている。警戒しすぎているんだろうな」 シオンの言葉に、ラスターは感心したように頷く。 ――原理はわからないけれど、凄い。 そして、やはり凄い人なんだという尊敬の心が沸きあがった。 「よし、相手の気を逸らすから、その隙に一人を頼む」 「はい……!」 囮になるのだろうか? シオンは、相手と建物の瓦礫を挟む位置に移動した。 一方、ラスターは建物の上に。 (……なにするんだろう) 真下にいる相手選手を見つめながら―― 「行くぞ。はあっ!」 ――ぶっ飛ばされた。 「は? え、えぇぇぇぇぇえ!?」 文字通り、ラスターは吹っ飛んだ。 後ろには、さっきまで足場にしていた建物が一緒に崩壊している。 空中を浮遊しながら、ラスターの視界には、拳を構えるシオンの姿が映った。 「ああっ……あの人、パンチで建物をぶっ壊したのか」 ……ありえない。ありえないぞーッ!   建物が崩壊する轟音に、ラスターの絶叫はかき消されていた。
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