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「お、落ちたんじゃなかったの!?」
「え?」
そう決めつけていたリリスにとって、合格よりそちらの方が驚いたようだ。
ラスターは小首を傾げていた。
「いや? 受かったよ。ほらこれ」
そう言ってラスターは合格者発表に指を差す。
ラスターの示した方向を目で辿って、合格発表に目をやると――
【合格者・騎士学科】
...352:ラスター・レジェンド
「ほら! リリスもあったんだろ? やったな!」
「そ、そうだね! ……あっ……」
ひとまず安堵したリリスも、喜ぶラスターにつられて微笑んだ。
しかし――今の状況に気付く。
先ほど大声をだして目立っていたうえに、今はラスターと抱き合っている。
つまり、一部の人々の注目の的だ。
今更ながらこの状況に恥ずかしさを感じたリリスは、頬を真っ赤に染めて茹であがった。
一方、ラスターは涙で顔を濡らしながら喜んでいる。
ラスターが落ち着いた頃には、空に黄昏の色彩が滲(にじ)んでいた。
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