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「……面倒な事になっちゃったわね」
「そうですね。リディアとリリスさんは何処か行ってしまいましたし」
レイナとアルスの前には、剣を構える青年に、短剣を構える女性がにじり寄っていた。
見るからにスピードタイプなため、魔法使いである二人には限りなく苦手なタイプだ。
「大人しく降参したらどうだ? いくらアルスさんでも、接近戦はできないでしょう。武器をもてない貧弱さなら、ね」
剣を構える男は、皮肉のつもりなんだろうか、わざとらしく笑っていた。
しかし、それは二人の火種をくすぶるバカな行動だ。
「品性が感じらないわね」
「全くです。……やりますか」
レイナは呆れた様子でレイピアを構え、アルスは「やれやれ」といった呆れ笑いを浮かべる。
しかし、男は余裕を見せる態度で笑っていた。
「へっ!手加減しないぜ?」
そう言うと、相手の二人はバックステップを踏んだ。
辺りを駆け回り、死角から攻撃するつもりなのだろう。
「アルス先輩、お願いしますね」
「はい、わかりました」
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