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同時に、アルスもバックステップを踏んだ。
そして、軽やかな身のこなしで瓦礫の上に立つと、詠唱を始めようとする。
詠唱させまいと、レイナの横を駆け抜けて、二人が飛び出した。
レイナは薄く笑っている。わざと見逃した、と。
「――以下省略」
「はっ……?」
茶目っ気を溢れるアルスの声に、突拍子もなく紫色の魔方陣が輝く。
――詠唱破棄(スペルキャンセル)。
詠唱を省略し、記憶している術式を思い浮かべて発動する。
一見、便利なように見えるが、並大抵の者は扱えないし、魔力を二倍以上に消費してしまう。
けれど、この男は平然とやりのけた。
「――サンダーストーム」
魔方陣を中心に、凄まじい稲妻が、敵二人を襲った。
――風の応用である雷の中級魔法だ。
髪が逆立ち、膨大な電流によって感電し、一瞬で失神してしまった。
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