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「ふむ! では我も本気といこう!」
カロルも突き刺していた鎌を抜き、両手で持ち上げて再び構えた。
だが、その姿勢のまま動かず、笑い出す。
「一つ言う」
「……?」
「魔法を詠唱させるつもりはないっ!」
そう咆哮したカロルは、鎌を突きだすようにした。
鎌の向くその方向には、リディアが詠唱している。
「我が鎌から放たれる真空刃に似た、風魔法を利用した――中略――風の弾丸を受けよ!」
長い!
リリスがそう言おうとした瞬間、鎌から圧縮された空気の球が放たれた。
――しかし、それはリディアに届くことは無かった。
「モンスターだけでは無かったか……」
「て…、手が痺れますぅ……」
それを短剣で防いだリリスに、カロルは感心している。
しかし、あれだけ時間があれば防ぐことはできだだろう。
短剣からはボロボロと土が落ちている。
相反する属性で防御したのだろう、と、ガロンはふんでいた。
「では!主から倒すとしよう!」
咆哮。そして突撃。
――だが、カロンの体は動かない。
カロンは視線を下ろしていくと、懐にリリスが居たことにようやく気づいた。
「影封呪(カゲフウジュ)……しばらく止まってください」
リリスはその短刀は、地面を、カロンの影を突き刺している。
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