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「甘いわ……」
その時、二人の上空から女性の声が聞こえた。
弾かれたように振り向くと、建物の上には一人の女性が立っていて、横には巨大な氷塊が浮かんでいる。
――エイテルだ。
「氷塊の中に眠りなさい」
詠唱と共に、巨大な氷塊が動きだす。
その大きさは、リリスとリディアを軽く呑み込むだろう。
防御は不可能、回避は――詠唱の余韻で固まるリディアは不可能。
しかし、リディアを置いていけるはずもない。
「……!」
「リーダーがここにいるなんて……はぅ……」
二人は完全に諦めた様子で、せめてもと目を瞑った。
「――ネオジエロ!」
巨大な氷塊は、まるで隕石のように二人を襲いかかろうとしていた。
無情にも、氷はエイテルの笑い声と共に――
「あら? え、……え? 氷塊が……砕けた?」
――粉々に砕け散った。
代わりに、上空で散開した氷塊の奥から、二つの影が落ちてきた。
それはリリスとリディアにも見覚えのある影だ。
「ラスター!」
「しおん!」
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