42229人が本棚に入れています
本棚に追加
/709ページ
「最初から全力でいきますわ!」
エイテルは腰溜めにしていた剣を、体ごと投げ出すように突き出した。
視認できるかはギリギリ――それなのに、まるで読んでいたかのようにシオンは避けた。
「まだまだよ!」
そこから、剣が横に薙ぎ払われる。
しかし、シオンは左手に装着された手甲で受け止めた。
シオンは笑い――
「受け身はしろよっ!」
その掌から、龍の形に見えるが放たれた。
風の魔法だろうか。
その瞬間、吹き飛ばされたエイテルは地面を転がった。
すぐに立ち上がり、正面を向くのだが、シオンを見失っている。
「いない……!」
「上から来るぞ! 気をつけろ! ……なんてな」
真上に飛び上がっているシオンの足が襲いかかる。
チリッと、エイテルの袖をかすめた。
寸の差でエイテルは避けていて、着地時の隙を見落とさずにレイピアで突こうとしている。
しかし、シオンはそれを手甲で受け流し、エイテルの両腕を捕まえた。
「す……、すげぇ……なんで余裕そうなんだよ……」
「エイテル先輩のレイピアも早いけど、シオン先輩の対応も素早いです……」
ラスターとリリスは戦う二人の姿を見て、驚いていた。
恐らく、二人なら最初の一撃か、次の薙ぎ払いで終わっていただろう。
「でも、シオンは遊んでるよ?」
リディアは素っ気なく言った。
「あ、あれで!?」
「うん。だってシオンの武器は――」リディアが言いかけた刹那、轟音が辺りに響き渡る。
最初のコメントを投稿しよう!