コンビニにて

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『荻堂先生。話があるんですけど、いいですか?』   何時ものように仕事も終わり、行きつけのコンビニで大好物のティラミスを買ったていたら、知らない青年に話かけられた。   『はい?』   声のする方へ振り向くと、いかにも今時の若者みたいな格好の長身な男が私を呼んでいた。 大学の先生という職業上、毎日数百人の生徒を教えている。 名前や顔なんて覚えられないが、その青年は私の事を先生と呼んでいるので多分生徒なのだろう。   『話ですか?構いませんよ。えーっと名前は…』   『最上大地。経済科2年の。』   経済科とは私が教えている学科です。 しかしその名前には聞き覚えがない。 やはり40手前になると記憶も乏しくなるのでしょうか?   『こんな時間ですし、私の家に来ますか?』   とりあえず立ち話もなんですから、と家へと最上君を招き入れた。   それが私『荻堂喜一』の新たなる世界への第一歩でした。   まさか、あんな事になるなんて…
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