始まり

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ギンギン響く友達の話し声。 鳴りやまないBGM。 コップに注がれた物を飲む音。 友達の話し声。 ……そして。 「御琴(ミコト)くん。 どうしたの? 飲まないの?」 一番鬱陶しかったのは、女達の話し声だった。 「……あぁ、ごめん。 少し、考え事してた」 「ふーん……、そう。 ……もっとテンション上げなよ、せっかくの合コンなんだから、さ? ああ、それと後もう一人来るから、その時テンション上げなよ」 気遣う様に言っているが、こんな物口から出たでまかせに過ぎない。 つまりはどうでもいい事だ。 俺は席を立つ。 「ちょ!? どこいくの?」 「ごめん。 トイレ」 それだけ言い、俺はこの雑音やだべり声に溢れた部屋を後にした。 (はぁぁ。 めんどくさいな。) いつからだろう? この〝遊び〟も楽しくなくなったのは――――いや。 最初っから楽しくなかったんだ。 この無限の繰り返しが楽しい筈がない。 それでも俺は、やめる事が出来なかった――――。
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