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「なんで 私には彼氏いないんだろうなぁ…
こんな いい女 ほかにはいないのに…」
雪乃は 曇りガラスに へのへのもへじ
を書いた。
「桜木…」
「桜木…」
教壇からの飯島先生の声
「だいたいさ~ この学校には かっこいい男はいないのよね~ だからわたし…………」
背中を鋭いもので突き刺す感覚と同時に
「雪乃… 雪乃…先生っ!」
田辺光一のつぶやく声に はっとおどろき立ち上がる。
「すいません 彼氏いません。」
とっさに出た言葉に教室は一瞬静まり
次に教室全体が笑いの渦にまきこまれた。
雪乃は自分で言った言葉に 自ら驚き 色白の頬が赤みがかる。
「桜木 まだ 人生長いから いい出会いがあるさ」
飯島先生もフォローしたつもりなのだが…ますます 笑いに巻き込まれていった。
雪乃はただただ笑うしかなく
席についた。
「キンコンカン…」
雪乃にとって 飯島先生のフォローより 終業のチャイムの方が救いに聞こえた。
さっそく 岬が雪乃の前の席に 笑いをこらえながらやってきた。
「なによ~?」
雪乃は ホッペを膨らまし 岬にあたる。
「どうせ バカにしにきたんでしょう?」
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