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理科室は中庭をはさみ反対の校舎の二階にある。
二人は二階にある校舎を結ぶ連絡道を腕組みをしながら理科室へ向かう。
今日は やたらとテンションの高い岬。
それをよそに 気分の浮かない雪乃。
それもそうだ。
岬がしゃべりっぱなしなのだ。
理科室の席順は 自由。
もちろん雪乃の隣にはしゃべりっぱなしの岬が。
雪乃も岬の話を すべて聞いている訳ではない。
半分は受け流している。
それでも 岬には雪乃は大切な存在なのだ。
ただ 話を頷き聞いてくれる。
それだけでも ありがたい存在だ。
そんな中 授業はいつの間にか 始まっていた。
教壇から聞こえてくる声と 隣で終わる事のないお喋り。
今日の雪乃は 二つの声は聞こえなかった。
「彼氏がほしぃ」
雪乃はある事に気づいたのである。
12月24日 クリスマスイブ。
そう 一週間後は恋人達のクリスマスイブ。
自分には 岬と違いクリスマスイブを一緒に過ごす彼氏がいない事に 今更ながら気づいたのである。
教壇からの声。
岬の止まらないお喋り。
それどころじゃない。
雪乃の頭の中は
「ど~すんのよ~ あたしは誰とクリスマスイブを迎えるの???」
次から次へと ハテナマークの行列が 行進していた。
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