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「機械人形……」
「あ、琴! 電車出るみたいだ、早く!!」
気が付けば、湊はもう駆け出していた。
「え……待ってよ!! 湊!」
***
有機的機械人間は世間では『機械人形』と呼ばれる。
有機的機械人間を人として扱うことを拒んだ人々からその名前が広がったらしい。
どんなに『人間』にそっくりでも、所詮は『人形』だった。
***
「ね、私って特別?」
向かい側の席に座る湊に問い掛けた。
「何それ、唐突だなぁ」
だって、何か問い掛けていないと落ち着かない。
記憶が無いって変な感じ。
「……だって、湊は私のことが大切なんでしょ? だから特別なのかなって?」
その言葉に、湊が小さくため息をついた。
「じゃあ逆に訊くけど、琴にとっての俺って何? 大切? 特別?」
そう言い終わるとニヤリと笑顔を浮かべる。
しまった、質問に質問を返されるとは思わなかった。
私は下を向いて黙り込んでしまう。
「琴?」
「そんなの分からないよ、だって私は記憶無いし……」
ずっと湊と一緒にいたっていうのはなんとなく分かる。
でも具体的に思い出せないの。
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