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しばらく歩いて、私達は煉瓦造りの一軒家と入って行った。
小綺麗なその家の正面には看板が一つ。
「……雪代診療所?」
「そ、機械人形専門の診療所だよ」
なんだか見覚えのある場所。
私はキョロキョロと辺りを見渡した。
私達はここで暮らしているのか……。
「じゃあ、湊はここの医者?」
「まあね」
意外だ。
なんだか、湊の白衣が妙に締まって見えた。
「琴、おいで。この椅子に座って」
湊に手招きされ、椅子に腰かける。
「直してあげるよ、目を閉じて……」
「はい」
ゆっくりと目を閉じる。
「目を開けた時には全部思い出してるよ」
頭上から降り注ぐ湊の声。
なんだか安心するなぁ……。
「あ……」
刹那、耳元で何か回線が切れる音が響く。
その音と共に、私の意識は消えていった。
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