駄菓子の「たけや」

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十六歳。 初めての体験。 と、文にすれば嬉し恥ずかしドキドキな内容だが… 偶然入った駄菓子屋で、突然やってきた小学生に、バケモノ呼ばわりされ…。 恐がられ。 泣き叫ばれ。 爆竹を投げられた。 あ、蹴りも二、三発入れられたっけ。 これだって、立派な立派な初体験では? ていうか、ババァって何!? いや、今はそんなことはどうでもいい… まず、この三匹の猛獣をなだめなければ、こちらの被害は甚大なモノとなる! 「ちょ、や、やめなさい!」 「ウルセー!」 攻撃は止まない。 「ボク達、ちょっとおねーさんの話を…」 「ババァが、おねーさんとか言うんじゃねぇよ!キモイ!」 「痛!痛たたた!コラ!」 攻撃が止む気配はない。 「ちょっと…痛いって、言ってんでしょうがぁぁぁ!」 怒りが、とうとう臨界を越えてしまった。 すると、三人組の猛攻はピタリと止み、彼らの顔から血が引いていく。 確かに怒鳴りつけたけど、私そんな恐かったかな? 軽いショックだった。 その時、奥の部屋の障子が勢い良く開く。 そこに、店の方とおぼしきおばぁさんが、阿修羅のごとき迫力で立っていた。
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