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「キェェェイ!」
俊敏に動くおばぁさん。
繰り出されたフライングクロスチョップ!
頸部を的確にとらえた大技は、少年の体を軽々と吹き飛ばす。
白目をむく少年の意識は、すでに宇宙の彼方だ。
「ノ、ノブ太ぁぁぁぁ!」
友達の呼び掛けにも、反応はない。
うろたえる私達を全く意に介さず、おばぁさんが言った。
「このバカタレ!男が言い訳するもんじゃないよ!」
無茶苦茶だ…
私は悟った。
この場では、理とか法とか、そういう筋道が一切通用しない。
次の瞬間には、いつあの少年のように、お花畑の向こうに送られてもおかしくないのだ。
「それに、あれだねぇ。見たこともない顔もいるねぇ。」
嫌な予感の的中。
ギョロリとこちらを向くおばぁさんの目は、爛々としている。
「その制服、隣町のもんだね…?なんの用だい!事と次第によっちゃあ…○○○○なお仕置きだよ…」
背筋にゾクリとしたものが奔る。
まずい…。
このままでは、確実にモバの違反事項に引っ掛かる…
「あ、あの、私…」
「なんだい!小娘!」
ごくりと、唾を飲み込んでから私は言った。
「バイトの面接に来ました!」
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