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もちろん、嘘八百である。
のるかそるかの、大博打だった。
まさか、わざわざバイトの面接に来たいたいけな女の子を、理不尽にあしらったりはしまい!
そんな常識を、このおばぁさんが一片でも残していることに賭けたのだ。
「あ~ん…ばいとだぁ!?」
露骨に不審がるおばぁさんに、なめられるような視線で見られる。
「ふーん…こんな色気のない体でねぇ…いや、しかしその手の需要もあるにはあることだし、アタシとキャラも被ってないしねぇ…」
とりあえず、なんだか馬鹿にされていることがわかり、ムッとした。
気にした様子もなく、アゴに手を当てながら、考え込んでいるおばぁさん。
と思いきや、突然クルリと後ろを向いた。
「まぁ、いいかい。入んな。話くらい、聞いたげるよ。」
全身を安堵感が襲う。
助かった…のかな…?
思わず、その場にへたりこんでしまった。
「なぁに、モタモタしてんだい!とっとと入んな!」
「は、ハイッ!?」
一息つく間もない。
「ホラ、三馬鹿!お前達もだよ!どーせ飯食いにきたんだろ!」
「「ハイッ!?」」
動かない一人を除き、直立不動で、少年達も返事をした。
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