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背中ごしに、電車が発車する音が聞こえる。
ようやく、落ち着いて背伸びをしてみる。
「んーッ…」
起きたばかりの猫のように、体を思い切り伸ばすと、ようやく脳に血が上ってきた。
全く知らない駅の改札。
全く知らない町並。
今日は授業も半日で終わったため、まだお昼過ぎだ。
少し、この辺を歩いてみようか。
それも、たまにはいいかもしれない。
ポケットから、ケータイを取り出し、よく電話する友達へとリダイアル。
おしゃべりがてら、適当に歩き始めた。
「ハーイ、モシモーシ。真悠ちゃん?」
「うわ!ユッコ、出るの早くない!?」
「うーん、特に彼氏とかいないし…ヒマしてたもん。」
「ハーイハイ。お互いにね。」
軽口を叩いて笑い合う。
ユッコとは、中学時代からの付き合いだ。
「そんで、とっても恥ずかしい目に合ったわけよ。アタシは。」
「アッハハハ、それ、自業自得!ていうか、真悠ちゃんらしい~。」
「あんた、普段から私をそーゆー目で見てたわけね…。」
「そーだよー。イメージなんて、そんなもの…」
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