駄菓子の「たけや」

4/29
前へ
/237ページ
次へ
ふと、会話が途切れる。 電話口から、ハーイだの、今行くよー、とユッコの声。 「ゴメーン、真悠ちゃん。お昼ご飯できたみたい。」 「あぁ、そういやそんな時間だったわね。うん、そんじゃ、また今度ね。」 「うん。じゃあね~。」 ケータイをきる。 すると、自分も急にお腹が空いたように感じた。 何か、適当な食べ物屋… ざっと見回すと、一軒の駄菓子屋を見つけた。 昭和の雰囲気、とてつもないレトロな感じが強く匂う建物。 駅からは、かなり歩いた。 決して、よい立地条件の場所ではない。 そういった諸々に、興味をそそられる。 お腹が空いた、とは言ったものの、何かをつまんで小腹を満たしたい程度だ。 ちょうどいい。 ダイエットにもなるだろうし。 さて、そうと決まれば話は早い。 足取りは、どんどんその駄菓子屋に進んでいく。 近くにきてわかったのだが、意外に小さい建物だ。 しかし、中には所狭しと様々な物が並んでいるのが見える。 人の気配は… ない。 感じられない。 違和感を感じ、もう一度確認。 のれんは出ている。 店名が、でかでかと書かれていた。 「駄菓子のたけや」
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!

520人が本棚に入れています
本棚に追加