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青年は先程まで〔戦場〕と呼ばれた荒野の最南端辺りにたどり着き愕然と立ち尽くす。
「どうしたんだ一体……何が起こったんだ?」
青年はしばらく荒野と化した辺りを見回していると中心地辺りに四つの人影を目にした。
その内の三つは同じ軍服を着ていたので仲間だとわかり、どうやら生き延びたようだ。
そして四つ目の人影を見た瞬間脚が竦み始めた。
「何だこれ? 脚が……」
青年にもこの脚の竦みが分からない。ただ分かった事は四つ目の人影に本能的に恐怖しているのだろう。
そして青年は人影を正確に見える距離まで恐る恐る近づき今にも奇跡的に生き残ったと言えるひびだらけの大きな岩の影に隠れて状況を見る。
やはり四人中三人は同じ仲間のようだと確信した。しかし4人目の姿は少し異質だった。
見た目は18くらいの男性で体格はかなり筋肉質で、髪は腰まである長い白髪。
そして瞳は血のような色をし、好戦的な目つきをしていた。
そして三人の兵士達は恐れながらも白髪の青年に銃を向けながら後退りをしていた。
そして、白髪の青年から僅かな笑みが浮かぶ。
「どうした? 撃たねぇのか? 俺は貴様らの敵のはずだろ?」
そして隠れていた青年は驚く。
(! アイツも感染生物だというのか!? 人型の感染生物なんて記録には無かったぞ!)
「まぁもっとも……俺はつい最近出て来た感染生物共とは違って何千年も前から生きてきたんだがな」
(!? 感染生物は何千年も前からこの星で生きてきたというのか? 一体何がどうなっている!)
そして白髪の青年は兵士達に向かってゆっくりと歩き出す。
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