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白髪の青年は右脚で大きく踏み込み、一人の兵士の眼前まで行き、右手で兵士の顔をわし掴みし、顔と掌が密着したほんの僅かな隙間から黒い光が漏れ出した。
「じゃあな……」
次の瞬間、漏れ出した黒い光が一瞬の間、急激に強くなり、辺りを漆黒で包み込む。
光が収まった時、顔を掴まれていた兵士の首から上が消え、血の噴水が出来上がっていたのだ。
あまりに一瞬の出来事で状況を把握しきれなくて戸惑う青年。
しかし落ち着きを取り戻し、傷口から微かに黒い煙が発しているのをみつけ、何らかの高熱で頭部を完全に焼き消したと青年は冷静な判断で推測した。
(……何をしやがったんだ!?)
「まず一匹……お前らも逃がさねーよ!」
「ゥ…ウワァァァァ!!!」
残った兵士達は恐怖の叫びをほとばせながら逃げ出したが、白髪の青年はすぐに追いつきまた掌を密着させようとする。
「チィ! 仲間を殺らせてたまるか!!」
青年は岩陰から飛び出し、銃を取り出し白髪の青年目掛けて発砲した。
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