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そしてオウキは大地の胸から手を抜き取り、大地は血の海に沈む。
大地の服の中から光輝く物がこぼれ落ちる。
ペンダントだ。そこには大地と大地によく似た少年と父と母と思われる人物が仲良く写っている。
「ほぅ…これがお前の家族か……そしてこのガキが弟…ん?」
ペンダントの裏を見ると文字が彫られていた。
「……天津…か……ククク…覚えたぜ……この顔、この名前!」
「ま……て……こ……の……」
大地は今にも漆黒の闇に沈みそうな意識の中で絶望の塊である青年にちかづく。
「まぁ無理するなよ……もうじき死ぬんだからな……お前の家族もな!」
そして、大地は力を振り絞ってオウキの左足にしがみつき、それを離そうとはしない。
「冗談じゃねぇ……誰が行かせるか……誰が天津の所に行かせるか!」
大地の瞳に怒りが灯る。その怒りを感じたオウキは、絶望的な案をひらめく。
「じゃあ貴様は力を得る代わりにあのバケモノみたいになる覚悟はあるか?」
オウキが発した一言……。
それが大地の心を動かす。
……自分があの怪物達になる覚悟があるかだと!?
大地は薄れゆく意識の中戸惑った。
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