夏。

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「ねぇ。」 と、私がぶっきらぼうにしょうを呼ぶと「んー?」と優しい返事が返ってきた。 「何で私なの?」 凄く疑問だった。 ゆうと私はいつも一緒に居た。 ゆうは可愛いし、一緒に居て楽しくさせてくれる。 なのに私は、なおきとの馴れ合いのせいも手伝って、しゃべり方も淡々とぶっきらぼうに喋るし、顔にも自信が無い。 ゆうの長くて綺麗な茶色のつやつやした巻き毛は、私の焦げ茶色の短い髪を、より一層際立てた。 「俺、知ってるよ。」 しょうは言う。 「あやちゃんの優しいとこ。」 私が?優しい? 「あやちゃんが照れ屋なとこ。 あやちゃんが時々見せる可愛い仕草とかーあと…」 「もう良い!もう良い!」 聞いてる私が恥ずかしくなってきた。 「ほら!そうゆうとこ」 ニーとしょうは笑って見せた。 「私も行ってこよっと!」 真っ赤になった顔を隠す為に、慌ててなおきとゆうの所へ行った。 私は潜ってなおきの足首をつかみ、水中から顔を出した。 なおきは体制を崩し、顔面から水面に向かって転けた。 「きゃはは!あや!ナイス!」 ゆうは腹を抱えて笑っている。 体制を整えて起き上がったなおきは「あやー!」と言って私は羽交い締めにされた。 こうして、なおきとじゃれあうの、久しぶりだな。 「痛い痛い!ごめんってば!なおき!」 「なおき」と「あや」。ほんと、久しぶり。 「仕返しじゃ!」 と言ってなおきは私の両足を持って逆さにした。 私の顔面は水中へと沈み、ブクブクと口からでる泡と同時に、大量の塩水が肺に入ってきた。 まずい! バシャバシャとなおきを叩いて訴えるも、なおきには届かなかった。 次第に薄れる意識の中、私の力は完全に抜けた。 「おい!あや!」 「やだ!」 ー…
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