夏。

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「ゲホっ!ゲホ!ゲホ!」 頭がガンガンする。 「…しょう?君?」 「あー!良かった!」 目の前にはなおきじゃなく、しょうが居た。 「しょうが体育の授業真面目に聞いてて良かった!」 なおきは言う。 「…あたし…?」 「俺、溺れさしちまった…」 なおきがすまなそうな顔で私を見て言った。 「しょうが人口呼吸知らなかったら俺…あやを殺してしまってた…」 あー…? 「あたし、息してなかった…?」 「「「うん。」」」 「…そっか」 立ち上がろうとすると、激しい目眩で転びそうになった。 しょうが後ろから支えてくれた。 「しばらく、日陰で座っとこう」 しょうに促され、私はレジャーシートの上に腰を下ろした。 「あや!ほんと!すまん!」 なおきが顔の間近で両手を合わす。 「良いよ、もう、」 顔の近くになおきが来るもんだから、恥ずかしくなってなおきを払いのけた。 「怒って…る…?」 「な!い!」 「ほんとに…?」 「もう!早くゆうんとこ行ってよ! あたしはしょう君と居るんだから!」 しょうの腕を強引に引き寄せ、なおきを追っ払った。 なおきは後ろをチラチラと見ながら、もう既に遊んでいるゆうの元へ、渋々行った。 しょうの腕をぱっと離し、「ごめんね、」と言うと、しょうは俯いたまま、何も言わなかった。
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