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「あっ。またつまづいた…」
なおきが、窓際で、独り言のように何かぶつぶつ言いながら、ずっと窓の外を見ていた。
「なーにぶつぶつ言ってんだよ!」
「痛ててて!」
俺はなおきの首もとに腕を絡ませ、いつものように、じゃれあった。
「いやぁさ、あや観察してたら面白いのって!あっ!ほらまたつまづいた。4回目。」
なおきは悪戯にニーと笑って見せる。
「見ててみ!今にすっころぶぜ」
ニヤニヤと笑って見つめるその先には、茶色の髪をくるくると巻いた女の背の低い子と、焦げ茶色の短髪の、スラリとした女の子がいた。
俺はどっちがなおきの言う「あや」なのか解らなかった。
背の低い子かな?ちょっと危なっかしい気だし。
「どっちが、あやちゃん?」
「男みてぇな奴」
短髪の方か!
見ると、ほんとにつまづいていて笑ってしまった。
「5回目。いつ転ぶかな」
なおきが意地悪に笑う。
「あいつさ!俺の幼なじみっつぅか腐れ縁っつぅか、5歳だったかな?その頃からずっと一緒!おっちょこちょいでそそっかしくて見てるこっちがハラハラする。しょうも観察してみ!面白いから」
ケラケラと笑いながらなおきは言った。
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