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「何?」と言うと「何?」と聞こえる。
「お先に…」と言うと「先に…」と聞こえてくる。
俺が笑うとあやも笑った。
こんなに笑ったのは久しぶりだ。
「あ、あやちゃん…」と言うと「しょ、しょう君…」と聞こえる。
「「気が合うね!」」
しばらく、2人の間に笑いは耐えなかった。
俺はやっぱり、あやが好きだ。
「あやちゃん、あのさ、前にも言ったけど…」
と言うと、「私ね、好きな人が居るの。」と、力強く、あやは言った。
「おっちょこちょいでね、照れ屋でね、時々可愛くて、優しい人。」
俺の「なんとなく」は確信に変わった。
「なおきだろ?」
なおきの口から、あやの事を聞かされた時、なおきはあやの事を、今、あやが言った事と同じ事を言っていたのを思い出した。
「良いよ、なおき好きでも。俺の方に向かせるから」
幼なじみ。お互いがお互いの事をよく知っている。
好きになったっておかしくない。
幼なじみという「絆」を感じた。嫉妬心も同時に覚えた。
「私は、なおきが好き。」
「俺は、あやちゃんが好き。」
俺は嫉妬心に任せて、強く言った。
真っ直ぐ、あやを見つめながら「絆」に負けじと、強く言った。
「うまくいかないねっ!恋愛って!」
投げやりにあやは言う。
「いくよ。」
念を込めて俺は言う。
「私、12年間も片思いするようなしぶとい女だよ?」
そんな一途な女、他に居るもんか。
あやじゃないと。
「俺、頑張るから。そんな一途な所も好きになった理由。」
あやは真っ赤な顔を隠す為、俯いた。
そんな仕草が、たまらなく俺の心をくすぶった。
「ヒュ~。熱いね!そこ!何喋ってんのー?」
海から上がってきたなおきが言った。
お前に、邪魔させるもんか。
「愛の告白。」
真っ直ぐ、なおきを見据えて俺は言う。
「え!付き合うの!?」
「解んない」とあやは言う。
俯いたまま、あやは言う。
「俺は全力で行く。」
なおきを見ると、なおきも真っ直ぐと俺を見た。
いつかなおきが言った。
「あやを泣かす奴が居たら俺がそいつを殴ってやる」
それを言いたいんだろう。
なおきも、あやが好きなのかもしれない。
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