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ホテルの料理は、バイキング形式になっていて、私達は、着替えをして、いそいそと食堂へと向かった。
「腹減ったー!」
なおきが叫ぶ。
「昼食べて無い上にあんなにハシャぐからだよ」
私は言う。
「お前海に何しに来たんだよ」
「濡れる為」
「濡れるのは夜だけにしとけー」
「なおきー!」
私は拳を振り上げ、ちょろちょろと逃げ回るなおきを追いかけ回した。
やっとのことで席に着き、私達はお皿を持って、料理の方へ向かう。
しょうが動く気配が無いので、「行かないの?」と聞くと、「俺まで行ったら荷物誰が見とくんだ」と言われた。
「あ、そっか」なんて私は言う。
しょうは落ち着いてて、少し大人だなと思った。
なおきのようなそそっかしさは全く感じられなかった。
しょう君、かぁー…
いつか、なおきを忘れて、しょうを好きになる日が来るんだろうか。
今までなおきしか見てなかった。
しょうが視界に入る事により、なおきには無い物が少しずつ、見え隠れした。
「どーだ!」
ふんぞり返って言うなおきのお皿には、これでもか!ってほどの料理が乗っていた。
「味混ざるじゃん」
ケラケラと笑いながら言うと「食ったら一緒!」なんて返ってきた。
「猿の方が賢いよ」
「なんだとー!」
叫んだものの、なおきの両手は、料理でいっぱいになったお皿がある。
「バカ…っ!」
私はケラケラと笑いながら言った。「あや、後で覚えてろよ」なんて言うから、「しょう君のも取ってあげよーっと」と話をすり替えた。
料理をテーブルに並べた後、ビールを注ぎに行った。
「お前未成年だろ」
「いつも風呂上がりに飲んでんだろ」
私となおきの家は隣で、お互いの部屋をよく行き来した。
窓と窓との距離が近いのもあって、窓から窓へと飛び込むのも多々あった。
だからなおきが、いつ、何をしてるのか、ほぼ解っている。
なおきも、私の事はほぼ解ってるんだろう。
「「かんぱーい!!」」
「「お疲れー!!」」
ビールジョッキを片手に、料理を黙々と食べた。
しょうは意外に、お酒に弱いのか、すぐに顔が赤くなった。
ゆうがお酒に弱いのは知っていたけど、まさかしょうまで?
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