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「なぁ、あや、」
「何?」
「しょうとほんとに付き合うのか?」
…ーっ。
「付き合えって言ったのなおきじゃん。」
…ードクン。
「好きな奴居るんじゃねぇの?ほんとに良いのか?」
…ードクン。
「い、良いよ、もう。」
なおき、あんたが好きなの。気付いて。なおき。好きなの。
「なら良いや。しょうは良い男だからなー」
「なおきとは正反対」
「何をー!!」
「でもなおきも優しいじゃん。たまに。」
なおきの事、なんでも知ってるよ?
「あやも優しいじゃん。たまに。」
「たまに。は余計でしょ」
「あやもな!俺はいつだって優しい!」
「あ、あたしだって!」
「「ぶっククク」」
何の張り合いをしてるんだ、と思ったら急に可笑しくなってきた。
やっぱり、なおきと他愛の無いやり取りをしてるのが楽しい。
お互いが、お互いの性格を理解してる。
良い所も。悪い所も。
全てなおきで。
なおきが好きなのに、
伝わらない。
こんなに分かり合えるのに。
肝心な所は伝わらない。
「…ーっ。」
しまった。
でも、もう遅い。
「お、おい!あや!どうした!」
なおきが慌てて私を抱きしめに来た。
暖かい。
こんなに好きなのに。
こんなに好きなのに…!
「大好きだったの!でも届かないの!でも大好きだったの!」
止まらなかった。
なおきの胸の中で、子供のように泣きじゃくった。
「しょうに、俺から言っとこうか?」
ブンブンと首を横に振る。
「あや、お前どうしたいんだよ」
「なおきのキスが欲しい」
「え!?」
しまった。
本音ついでにポロポロと気持ちが口からこぼれていく。
「ほ、ほら!小さい時よくやってくれたじゃん!ホッペにチュー」
「なんだ、び、びっくりするじゃねぇか」
なおきの顔が近付いてくる。
なおきは、私の頬にキスをした。
ついでに、親指で涙を拭いてくれた。
「…りがと。」
「あやは、いつまでたっても変わらねぇな!」
ポンポンっとなおきが私の頭を撫でる。
そう。私は、いつまでたっても変わらない。
なおきを好きになったあの頃から、ずっと、止まったまま。
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