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目が覚めたのは7時頃。
みんなまだ、眠っていた。
飛行機がでる時間は10時頃。
まだ、時間はある。
私はみんなを起こすまいと、ソロリソロリと服を着替え、ビーチに向かった。
ビーチには人が少なく、「貸し切りだ♪」と、一人呟いて、海へと入って行った。
まだ日が浅くて、水がとっても冷たい。
「気持ち良いー」
まるで温泉を独り占めしているみたいだ。
「あ!そうだ」
私は、木の枝を探しに、ビーチより少し離れた所へ行き、流れついた大きな木の枝を手にし、
ビーチの砂の上を走り回った。
完成すると、上に上がり、出来具合を見た。
でっかいハートの中に、なおき、ゆう、しょう、あやを書いた。
ハートは多少歪んでいた。
「こんなもんか。」
クスクスと一人笑ってビーチを後にする。
シャワーを浴びようと部屋に戻ると、みんなもう起きていて、「あやどこ行ってたの?」とゆうは聞く。
「フフン。貸し切りビーチ」
「えーずるーい!」
「寝ている奴が悪い」
私はフフンと鼻で笑ってシャワーを浴びる為にお風呂の扉を開けた。
帰りに見えるかな、あの落書き。
シャワーを浴び終わると、みんなもう、帰る支度バッチリで、私だけ、出遅れる事になった。
「早くしろよー」
「わかってるってば」
なおきが私を急かす。
この夏、私達は色んな体験をした。
春にはなおきとゆうが付き合い出した。
この海ではしょうとの思い出の場所になるだろう。
この夏、久しぶりのなおきのぬくもりにドキドキした。
12年間の片思い。
叶わない片思い。
私は、しょうと向き合わないといけない。
なおきからしょうに逃げる。そんな言い方がピッタリなんだけど、私は、しょうと向き合ってみると決めた。
しょうをちゃんと見てあげる。
そう決めた。
なおきはゆうの物。
あたしのなおきはもう居ない。
「よし!行くか!」
私達は飛行機の待つ、空港へと旅立った。
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