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機内の中で、ゆうは私の隣に座った。
「ねぇ!あや!ビーチが見えるよ!」
ゆうの声を聞いて、私は窓を覗いた。
遠くから見る「ハート」は、うっすらと、ここに居るよ、と言っていた。
ゆう、気付くかな…
気付かないだろう。あれは私の秘密の告白。
3人に込めた、大好きだよ、と。
「あれーなんかビーチに書いてあるー」
「なんて書いてるんだろう」なんて言うゆうに、「知らない」と笑って答えた。
「ゆう」
私はゆうに耳打ちをする。
「良いよ!あたしあやだぁいすき!」
ゆうの返事に目を丸くした。
「聞かなかった事にするよ」
クスクスと笑いながら私は答える。
ゆうとなおきはうまく行って無いんだろうか。
疑問が残った。
“あたしの好きな人ね、なおきなの”
大きな機体はガクンと斜めになり、大空へと羽ばたいた。
この夏の思い出を引きずって、飛行機は羽ばたく。
頭痛に襲われながら、私は、また、眠りについた。
―【完】―
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