121人が本棚に入れています
本棚に追加
朽ち逝く意識の狭間で
これ以上何を願おう
只一つ 願わくば死を
†霹靂の華-壱咎-
――…日が沈み、闇の帳が降りた頃から此処は動き出す。
それまでは気配一つ無かった見世屋には次々に灯りがつけられ、中では遊女達がいそいそと髪結いに化粧にと動き回る。
恵架禄はと言うと、既に常連の顧客で賑わっていて、各々与えられている私室で顧客を相手している。
「いやー相変わらず賑やかだねぇ」
「そうですねぇ、なんせ此処は色街の中でも一番の見世屋でございますから」
香と遊郭独特の香りを漂わせる恵架禄の広い一室に、三人の男と同数の遊女の姿。
男達を見ると、皆黒い死覇装に白い羽織を掛けている事が伺え、言わずと三人が瀞霊廷の隊長格である事は見て取れる。
"八"の数字が織り込まれた羽織の上から、派手な女物の着物を引っ掛けて、遊女相手に酒を呑み交している京楽 春水は何時もの如く垂らし癖を披露している。
.
最初のコメントを投稿しよう!